つなぎ融資はいくらかかる?公表例3%と実際1.65%を計算した

注文住宅では、住宅ローンが実行されるのは引き渡しの日です。それより先に土地の決済、着工金、上棟金の支払いが来ます。この穴を埋めるのがつなぎ融資です。

先に結論を書きます。つなぎ融資の費用は、建物ではなく土地の値段でほぼ決まります。そして金利は、ネットの計算例と実際の提示額で倍近く違うことがあります。

金融機関が公表している例に多い年3%で計算すると、土地8,000万円のケースで約237万円。ところが実際の商談で提示されたのは年1.6〜1.7%で、同じ条件だと約136万円でした。その差101万円です。

3%の記事だけを見て「つなぎ融資は高いから避けるべきだ」と判断すると、間違えます。


つなぎ融資の費用は、土地の値段でほぼ決まる

理由は単純で、借りる金額が桁違いに大きく、借りている期間もいちばん長いからです。

注文住宅の支払いは、ふつう4回に分かれます。

支払い 金額の目安 つなぎ融資を使う期間
土地の決済 土地代の全額 10ヶ月前後
着工金 建物代の30%前後 4ヶ月前後
上棟金 建物代の30%前後 3ヶ月前後
引き渡し 建物代の残り ここで住宅ローンが実行される

土地だけが「全額」を「10ヶ月」借りることになります。着工金と上棟金は、金額が3分の1以下で期間も短い。だから土地の値段が上がると、費用がそのまま比例して増えます。


計算方法を、金融機関の公表例で確認する

自分で勝手に計算すると間違えるので、まず公表されているシミュレーションで式を検算しました。

SBIアルヒが載せている例では、つなぎ融資の金利を年3%、諸費用を事務手数料11万円(税込)・印紙代2万円として、こう試算されています。

内訳 期間 利息
土地購入代金 10ヶ月 369,863円
着工金 4ヶ月 88,767円
上棟金 3ヶ月 66,575円
合計 525,205円

融資額の合計は3,300万円です。ここから逆算すると、利息は元本 × 金利 × 借りた期間の単純な日割りで出ていると分かります。土地部分の元本は約1,480万円、着工金と上棟金は約890万円ずつという内訳です。

計算式は素直で、自分の金額に置き換えられます。


土地4,000万円と8,000万円で計算し直す

上の式に、土地から買う人の現実的な金額を入れます。金利3%、期間は同じ条件です。

ケース1:土地4,000万円+建物4,000万円(総額8,000万円)

内訳 元本 期間 利息
土地 4,000万円 10ヶ月 100.0万円
着工金 1,200万円 4ヶ月 12.0万円
上棟金 1,200万円 3ヶ月 9.0万円
利息 合計 121.0万円
事務手数料・印紙 13.0万円
総額 約134万円

ケース2:土地8,000万円+建物4,500万円(総額1億2,500万円)

内訳 元本 期間 利息
土地 8,000万円 10ヶ月 200.0万円
着工金 1,350万円 4ヶ月 13.5万円
上棟金 1,350万円 3ヶ月 10.1万円
利息 合計 223.6万円
事務手数料・印紙 13.0万円
総額 約237万円

金融機関の例(3,300万円で約65万円)と比べると、ケース2は3.6倍です。首都圏では30坪でも土地だけで4,000万円を超えるエリアが珍しくなく、たとえば朝霞市は坪92.2万円という水準です。「つなぎ融資は数十万円」という感覚で予算を組むと、100万円単位で足りなくなります。


ところが、実際に提示されたのは年1.6〜1.7%だった

ここからが、公表例だけを見ていると分からない部分です。

大手ハウスメーカー1社との商談で、つなぎ融資の説明を受けました。提示された条件はこうです。

つなぎローンで当社が担保して、年1.6%か1.7%。日割りで貸す。費用は数十万円になる。最後にまとめて払うケースが多いので、その場合は引き渡しまで返済が始まらない。

公表例の3%に対して、ほぼ半分でした。同じ計算式に入れ直します。

土地4,000万円のケース 土地8,000万円のケース
年3%(公表例) 約134万円 約237万円
年1.65%(実際の提示) 約80万円 約136万円
差 約54万円 約101万円

なぜ違うのか。借りる相手が違うからです。公表されているのは金融機関が単独で出すつなぎ融資で、こちらはハウスメーカーが担保に入る形でした。建てる会社が保証を負うぶん、金利が下がっている構造だと考えられます。

つまり「つなぎ融資は年3%」という前提そのものが、会社によって変わります。ネットの試算をそのまま自分の予算に持ち込まないでください。


避ける方法:土地先行融資と分割融資

つなぎ融資を使わず、住宅ローンそのものを分けて実行してもらう方法もあります。

  • 土地先行融資 — 土地の分だけ先に住宅ローンを実行してもらう
  • 分割融資 — 1本の住宅ローンを、土地・着工金・上棟金と複数回に分けて実行してもらう

みずほ銀行、三井住友銀行などが扱っています。ネット銀行は対応していないところが多く、対応していても土地の分だけ、という場合があります。

効くのは金利差ですが、その差は、つなぎ融資が何%かで大きく変わります。土地8,000万円・10ヶ月で比べます(住宅ローンの変動は年1%と仮定。2026年8月の主要行の変動金利は年1.082%)。

つなぎ融資の金利 つなぎ融資 土地先行融資 差
年3%なら 200.0万円 66.7万円 約133万円
年1.65%なら 110.0万円 66.7万円 約43万円

年3%なら133万円の差で、銀行を選び直す価値が十分あります。年1.65%まで下がると43万円で、手間に見合うかは微妙になります。

さらに、単純な引き算にならない点が3つあります。

  1. 土地先行融資は、土地の実行時点から返済が始まります。今回提示されたつなぎローンは「最後にまとめて払う」形なので、引き渡しまで返済ゼロ。月々の手元資金の出方がまるで違います
  2. 事務手数料が2回分かかることがあります。融資額の2.2%といった料率型だと、土地と建物で別々に計算される場合があります
  3. 住宅ローン控除の扱いを確認する必要があります。入居後が前提の制度なので、土地先行分がどう扱われるかは金融機関と税務署に確認してください

まず自分の会社のつなぎ融資が何%かを聞く。話はそこからです。


土地を買う手順は、思っているより先に進んでいる

商談で聞いた実際の流れです。ここを知らないと、つなぎ融資の話がどこで出てくるか分かりません。

  1. 買付(申込書)を入れて金額を決める
  2. ローンの事前審査に通らないと契約できない
  3. 契約する。手付金はこの価格帯だと100万円が多い(不動産屋によっては50万円)
  4. 契約から約2ヶ月後に土地の決済。ここで土地が自分のものになる
  5. その間に本審査を進め、銀行と契約する

見落としやすいのが審査に出す金額です。

7,000万円の土地を買うのに、7,000万円で事前審査を出すのではなく、総額の1億4,000万円で審査を通す。建物の金額が未確定なら、少し高めに組んでおく。

建物の金額が固まる前に土地の審査が来るので、建物の資料もこの段階で要るということです。そして上物が予算を超えたら、増額にはもう一度審査が必要になります。

もうひとつ。つなぎ融資のために本審査を通した銀行と、最終的に契約する銀行は、別でかまいません。「他が全部落ちたらうちで」という条件は付きますが、そこで縛られるわけではない。


落とし穴:土地先行融資には、建物の請負契約が要る

土地先行融資は「土地だけ買って終わり」を防ぐため、建物の請負契約か、それに準じる建築計画の提出を求められます。三井住友銀行の説明にも、土地の申し込み時点で完成予定を示す必要があり、建物の計画がない場合は対象外だとあります。

順序でいうと、こうなります。

会社を決める → 建物の請負契約(または計画確定) → 土地先行融資の申し込み → 土地の決済

つまり、土地を決める前に会社が決まっていないと、この選択肢は使えません。土地が出てから慌てて会社を探すと、間に合わずにつなぎ融資へ流れます。

そして前の章のとおり、つなぎ融資の金利は会社によって倍違う。どちらの道を通るにしても、会社を決めた時点で条件が確定します。

「土地とプランはどっちが先か」という論点は別記事に書きましたが、資金面から見ても答えは同じでした。会社さがしを土地さがしと並行させるのが、いちばん安く済みます。


どちらを選ぶかの判断

先に確認することは1つだけです。候補の会社に「つなぎ融資は何%ですか。御社が担保に入る形ですか」と聞く。答えが3%前後なら、土地先行融資を検討する価値があります。1%台なら、手続きの簡単さを取ってつなぎ融資でかまいません。

土地先行融資・分割融資が向く人

  • つなぎ融資の提示が年3%前後で、土地代が3,000万円を超える
  • 会社が決まっている、または決められる状態にある
  • 土地の実行時点から返済が始まっても、家計が回る

つなぎ融資でよい人

  • つなぎ融資の提示が年1%台
  • 土地を先に押さえる必要があり、会社を決めている時間がない
  • 引き渡しまで月々の返済を増やしたくない

判断を分けているのは金利の高低そのものではなく、土地の値段 × 金利差です。


よくある質問

Q1. つなぎ融資の金利は交渉できますか?

A. 金融機関が定めた水準なので個別の値引きは期待しにくいですが、会社を変えれば変わります。実際に公表例の3%と、商談で提示された1.6〜1.7%では倍近い開きがありました。もうひとつ現実的なのは、借りる期間を短くすることです。設計の遅れがそのまま利息になります。

Q2. つなぎ融資の利息は、住宅ローン控除の対象になりますか?

A. 住宅ローン控除は年末時点のローン残高に対する制度です。つなぎ融資は引き渡し時に住宅ローンで完済されるため、年末に残高として残りません。控除の計算に含まれないと考えるのが基本ですが、実行の時期によって扱いが変わるので、税務署か金融機関で確認してください。

Q3. 自己資金で払えば、つなぎ融資は要りませんか?

A. 要りません。ただし手元の現金を土地代に全部充てると、着工金と上棟金で詰まります。支払いは1回ではなく4回に分かれるので、資金繰り表を先に作ってください。

Q4. つなぎ融資の返済はいつから始まりますか?

A. 商品によります。今回提示された形は「最後にまとめて払う」で、引き渡しまで返済が発生しません。毎月利息だけ払う形もあるので、返済がいつ始まるかは金利と別に必ず確認してください。月々の家計に直接効きます。


この記事の情報について

  • 計算方法と諸費用の水準は、SBIアルヒが公表しているつなぎ融資のシミュレーション(金利年3%・事務手数料11万円・印紙代2万円)を基準にしています。2026年8月30日確認
  • 年1.6〜1.7%という提示額、手付金100万円、決済までの期間、審査を総額で通す話は、2026年8月30日に大手ハウスメーカー1社の商談で実際に説明を受けた内容です。会社・時期・条件によって変わるため、自分の候補先で必ず確認してください
  • ケース1・ケース2の試算は、公表されている計算式に自分が検討している価格帯を当てはめた独自の計算です
  • 変動金利の水準(年1.082%)は2026年8月時点の主要行の水準です
  • 税制と融資条件は変わります。契約前に必ず金融機関で確認してください。

この記事は「お金」の工程です。

参考



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